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このコーナーでは、色彩計画家・吉田愼悟をはじめ、経験豊かな当社スタッフが新しい建築物や土木構造物、プロダクト、グラフィックなどの色彩をテーマに記事をブラッシュアップしていきます。

汐留│汐留シオサイト5区


汐留地区では、旧国鉄の貨物駅あとの再開発が進んでおり、日本テレビや電通本社、共同通信社など多くのメディア企業が本社を構えている。ここまでは、誰もが知る事実だろう。都心ではこのほかにも六本木や丸の内、品川駅周辺などの大規模再開発がその全貌をあらわしつつある。
今回はそんな大規模再開発の陰で経済の地盤沈下が危惧される周辺地区の再開発事例として、港区東新橋の汐留シオサイト5区を紹介したい。

もともと汐留駅周辺には貨物駅関連の商業者や運送業者が居を構え、敷地面積30坪程度の狭小建物が集積していた。再開発では区画整理に伴い、複数の地権者が建物を共有化する手法が取られた。このことにより居住スペースと賃貸スペース双方の確保が可能になっている。また、この地区のもう一つの特徴として、北イタリアのまちなみをモチーフとしたデザインで建物の外観を統一するようデザインガイドラインを策定したり、デザイン監修者としてイタリア人建築家を招くなど、多くの地権者が関係する既成市街地の再開発では困難とされてきた、デザインコントロールが高い次元で実現している点にある。



▲汐留シオサイト5区地区のまちなみ全景


▲青緑色のパラペットで統一された頂部のデザイン

建物の外観は、中彩度の基調色が主体となっており、低層部には石材などが積極的に用いられている。また、各建物の頂部には勾配屋根を思わせる緑青色のパラペットが取り付けられている。
建物群の中心に広場風に整備された区立汐留西公園では、茶系の本石舗装が採用され石畳風の佇まいがイタリアっぽさを倍加させている。
また、チェーンストア系の飲食店も一般の市街地に出店する際とは異なり、CIカラーを前面に打ち出した派手な店舗デザインではなく、周囲にとけ込むイタリア風の配色やデザインを採用している。
建物の色だけを見れば、周辺の新橋の雑踏にも負けないほどの華やかさがあるが、デザインのコントロールや適度な素材の使い分けによって、色味の強い建物にありがちなけばけばしさは感じられない。



▲茶系の本石舗装が採り入れられた広場


▲周囲にとけ込むデザインを採用したカレーチェーン店

汐留シオサイト5区のまちなみは、既成市街地の地権者が色彩デザインにまで深く踏み込んだ再開発を実現したという点で画期的なものだといえる。しかし、このまちなみが整えば整うほど、周辺のまちなみがどこかみすぼらしく見えてくる。イタリアを意識するかしないかは別として、汐留の地権者たちが実現したデザインの相互調整の思想が周辺のまちなみにも波及することを願うばかりである。(T)

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